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97年の財政構造改革法の根拠となる「国債は国民所得における国債償還のための税負担比率を増やし、国民負担率を増加させるからよくない」という主張は、どうして現在のような不況期に出てきたのであろうか。
国債の発行を行えば、純負担はないとはいえ、その元利支払いのためにいつかは増税を行って、民間から資金を調達しなければならない。 このとき、国民にとっては、税金を余計に払わなければならないから、損した気分になる。
そのため、国民は文句をいうのである。 この文句も個人個人にとってみれば、あながち非合理ではない。
国債の元利を受け取る人は当然と思い、払う人は損だと思う。 国民負担の真相である。
ところで、税金を徴収し国債の元利を返すという手間は、政府やO蔵省がやらなければならない。 増税を行えば、その側面だけを見て国民は必ず不満を持ち、その不満は政府やO蔵省に向かうことになる。

こう考えると、国債発行に関わる本当の負担が見えてくる。 すなわち、「国民負担」というよりは、むしろ政府「苦情」負担あるいはO蔵省「手間」負担なのである。
避けるために国債発行を行わずに財政支出を切りつめれば、現在のような不況期には余剰設備や労働力の有効利用ができない。 国債を発行しないからその保有者はいないため、O蔵省は将来国債の元利支払い分の税金を集めて保有者に払う手間がいらない。
特に不況下では、国全体が倹約ムードになり、政府も倹約すべきだという風潮が生まれるから、無駄遣いをしているという文句もいわれない。 結局、不況下の財政再建とは、O蔵省が将来の徴税の手間を省くために、せっかく利用できる余剰労働力を放置し、使えばできていた公共設備を放棄することなのである。
過去に国債が発行されていなければ、このような右から左への資金の流れがないだけである。 現実の財政構造改革法においては、景気の成り行きとは無関係に、削減する公共事業の中身の吟味もなく、毎年ほぼ一律にほとんどの項目で財政歳出を引き下げ、財政赤字を減少させようとしている。
この裏には、バブル崩壊以降、景気を立て直すために赤字財政が続き、国債残高が高くなり過ぎたから、現在の景気の状態がどうであれ、毎年の財政支出を抑えなければならないという、会計的辻棲合わせしかない。

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